商店街のやさしさ発信部
2024.02.28
歴史を見つめる商店街唯一の本屋【ちひろ書店】
皆さんの地域に個人営業の書店はありますか?
今回は、あらい商店街で70年近くの歴史を持つ「ちひろ書店」を紹介します。
取材に伺うと、店前で、木の板に書かれたお地蔵さまが笑顔で迎えてくれました。店主である鋤柄さんのご主人が描いたそうです。店内は明るくこぢんまりとしていて、昔ながらの石油ストーブの温かみを感じました。店内に入ってすぐのところに雑誌が少しあり、左側の壁にたくさんの蔵書、奥にはご主人や地元のお友達の書や写真が飾られていました。
そんな昔の風情が残るちひろ書店。まずは歴史を簡単に紹介します。
初めは今の場所から道路を挟んだ反対側にあり、書店ではなくお菓子屋でした。鋤柄さんのお母さんが生活の足しになればと始めたそうです。鋤柄さんは幼いながら電車に乗ってお菓子の仕入れによく行っていました。毎日の手伝いで遊ぶ時間が減っても「嫌という気持ちは少しもなかった」といいます。
それから、お母さんは商売をするなら好きなものを売りたいと考えて昭和28年にお菓子屋を閉じて書店を開業します。しかし当時は書店を営業するのは難しい時代で、鋤柄さんは「とても苦労した、頑張ってきた」と教えてくれました。苦労しながらもお母さんが書店を続けられたのは、鋤柄さんがそれを継がれたのはやはり本が好きだという気持ちだと思いました。
その頃は店内が広く従業員さんがいました。学校帰りの中学生のたまり場になり、とても賑やかだったそうです。あらい商店街も呑み屋が多く、同じように活気づいていたよう。今のちひろ書店は店主さんの昔からの友達が集まる場となっています。
では、次にちひろ書店のシステムについて紹介します。
ちひろ書店は完全お取り寄せシステムです。自分が欲しい本を電話かお店に行って注文すると取り寄せてくれます。そして、直接お店に行き、本を受け取ります。老若男女、どの世代の人も利用しているそうです。だから、欲しいけれど見つからなかったあの本・この本をぜひちひろ書店で取り寄せてみてください。
そして、昔は賑やかだった商店街も今は寂しくなったと鋤柄さんは感じるそうです。だから、「自分が元気なうちは商店街のためにも商店街を利用する人のためにもお店を開ける」と決意されています。でも継いでほしい気持ちはないようです。それはやはり大変な仕事だから。”今”のちひろ書店をぜひ利用してください。
待っています。
取材・文=堀竹友依(松川中学校2年)